世界10大リスクの第5位に鳩山政権、1位は米中関係の悪化」、2位がイランの暴走

国際政治上の危険要因を分析している米コンサルティング会社ユーラシア・グループは、今年の世界10大リスクの5位に「鳩山政権」を挙げた。「気候変動」(6位)や「インドパキスタンの緊張」(8位)などより危険な要因だとした。



 鳩山政権の「官界と産業界の影響力を小さくしようとする政策」が、世界的に見ると高い危険要因になっていると指摘。「参院選で勝つと、今よりマニフェストに忠実な政策を実行しようとして混乱するだろう」と予測した。



 「党の実権は小沢一郎氏が握っている。鳩山首相は選挙指揮が巧みなわけでも、政策決定に強いわけでもない。現政権は年末までもたない可能性が相当あり、ひょっとすると参院選までもたないかもしれない」とも分析した。



 リスクの1位は「米中関係の悪化」、2位が「イランの暴走」だった。


2010年の世界10大投資リスクを米国のコンサルタント会社が発表した。トップは、アフガニスタンのテロでも、北朝鮮の核実験でもない。米中関係だ。今年最大のリスクは、米国と中国の貿易摩擦だという。

その気配はある。米国のノーベル賞学者、クルーグマン氏が中国の人民元安を激しく批判する文章をニューヨーク・タイムズに発表した。安い中国製品が米国の失業者を生んでいる。世界不況の中で自国だけが輸出にはげみ貿易黒字をためこむのは重商主義であり、略奪に等しいとまで言った。

中国が米国債を投げ売りするのを恐れるむきがあるが、ドル安になるのだから感謝状を出してもいいと挑発的だ。米国では11月に中間選挙がある。オバマ政権が人気浮揚をねらって、人民元の切り上げを中国に迫る可能性は高い。

中国も黙っていない。中国の景気回復が世界の景気回復の牽引(けんいん)車になっていると強気だ。温家宝首相は、切り上げ圧力には屈しないと宣言している。中国製品には日本製部品も使われているから、米中貿易摩擦はひとごとといってはいられない。

こうなると、チベット問題台湾問題など政治問題もこじれてくるのがこれまでの米中関係だった。もっとも日本も安泰ではない。なんと10大リスクの5番目が日本の政局不安だ。自民党による一党支配の時代が終わったが、民主党政権は官僚が機能しない弱体政権で、経済も混迷するだろうという見立てだ。

国会が始まれば、またぞろ政治とカネの問題でごたごたしそうだ。スキャンダル追及は検察にまかせて、国会は年金や医療や財政など日本再生の議論にしばらく専念してみたらどうだろうか。


鳩山政権は世界のリスクになろうとしている。地政学的なリスク分析を専門とするコンサルティング会社、ユーラシアグループ(本部・米ニューヨーク)が4日公表した「今年の10大リスク」(Top risks of 2010)で、5番目に「日本」が入った。鳩山政権の脱官僚政治や米軍普天間飛行場移設をめぐる迷走が影響したとみられる。





 ユーラシアグループは、鳩山政権の本当の実力者は小沢一郎幹事長(67)だと指摘。鳩山由紀夫首相(62)について「決断力がなく、(政治資金をめぐる)スキャンダルもあることから、年内に首相の座を明け渡す可能性が高い」と退陣を予測する。



 今夏の参院選前に菅直人副総理国家戦略担当相(63)や原口一博総務相(50)らが後継首相になるとの日本国内の観測を紹介した上で「新首相に力があったとしても、小泉政権後の脆弱(ぜいじゃく)な政権の一つになりそうだ」としている。



 民主党政権運営については「厳しい財政状況の中、官僚の手助けなしに政策を具体化するのは難しい」と指摘。バブル経済崩壊した1990年代初めからの不況を指す「失われた10年」が新たに複製されるという専門家の危惧(きぐ)を紹介している。



 ■1位は「米中関係」

 「10大リスク」の1番目は「米中関係」。両国が地球規模の主要な問題に向け指導力を発揮する「G2」構想については「中国が国際的な責任を引き受けようとしないために実現しない」と否定的だ。両国関係は昨年11月のバラク・オバマ米大統領(48)訪中時がピークで、今年は悪化の一途をたどるとしている。

 米政府内での日本への懸念は、中国への懸念と同等か、それ以上に強い。昨年10月、米紙ワシントン・ポストは「今や、最も厄介な国は中国でなく日本だ」という米国務省高官の発言を伝えた。

 米国をいらだたせている普天間問題について、鳩山首相は5日、記者団に「与党3党で熱心に議論していただくので、それを見守りたい」と能天気に語った。

 ■地政学的リスク(geopolitical risk) ある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、地理的な位置関係により、その地域の経済や世界経済全体の先行きを不透明にするリスク。2大要因は「地域紛争」と「テロの脅威」とされ、2002年に米連邦準備制度理事会FRB)が声明文で使用して以来、市場でも広く認識されるようになっている。