デフレ時代の勝ち組ファーストリテイリングの業績が絶好調ユニクロを全国に展開

カジュアル衣料品店ユニクロ」を全国に展開し、デフレ時代の勝ち組の代表格となったファーストリテイリングの業績が絶好調だ。8日発表した2009年9〜11月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年の同じ時期の1.5倍に増えた。10年8月期の業績予想も、過去最高を見込んでいた昨年10月時点からさらに引き上げた。



 9〜11月期は売上高2634億円、営業利益610億円、純利益348億円で、いずれも前年同期より4〜6割近く増えた。貢献したのは、軽さが売りの合成皮革「ネオレザー」のブルゾンといった秋物新商品や、保温機能が高く、上着の下に外出着としても着られるよう色やデザインを増やした「ヒートテック」などの商品。価格の安さも加わり、まとめ買いする人の姿が多くみられた。



 10年8月期の業績予想は、売上高8200億円、営業利益1305億円、純利益675億円で、いずれも前期より2〜3割以上増える。柳井正会長兼社長は、20年に連結売上高を5兆円にする目標に向け、「毎年20%の成長をたたきだす必要がある」と話しており、実現に向けて一歩進み出したことになる


株式会社ファーストリテイリングとは株式会社ユニクロなどの衣料品会社を傘下にもつ持株会社である。



経営者である柳井正代表取締役会長兼社長のもと、GAPに代表されるような世界的な衣料品企業を目指して積極的に海外展開及びM&Aを行いグループを拡大している。東京証券取引所第一部上場。



概要

カジュアル衣料品の「ユニクロ」を中心として、衣料・靴等の小売店舗を展開する企業群を傘下に有する。



もともと「ユニクロ」はファーストリテイリングが自社で直接手がけていたブランドだったが、2005年11月に衣料品の製造・小売に関する営業を会社分割吸収分割)により完全子会社の株式会社ユニクロ(旧商号:株式会社サンロード)に承継している。当初は持株会社移行時に商号を「株式会社FRホールディングス」へ変更することを発表したが、後に撤回した。



傘下ブランド

完全子会社によるブランド

UNIQLO(株式会社ユニクロ) - カジュアル衣料ブランド

株式会社GOVリテイリング - 旧株式会社ワンゾーン、株式会社靴のマルトミ民事再生手続中であった同社を2005年3月に完全子会社化。2008年9月に、株式会社ジーユーと株式会社ビューカンパニーの事業譲渡を受けて経営統合。本社は東京都千代田区九段北

g.u.(ジーユー) - ファミリー向けカジュアル衣料ブランド

FOOTPARK(フットパーク) - 靴全般の小売店

AIRKICK(エアキック) - 若者向けの靴小売店

CALZADOR(カルサドール) - 婦人靴小売店

vju:(ビュー) - 靴小売専門店

CABIN(株式会社キャビン) - 婦人服専門店チェーン(2007年12月完全子会社化)

セオリー(株式会社リンク・セオリー・ホールディングス) - アメリカ発の総合ファッションブランド(2009年7月完全子会社化)

ZAZIE(ザジ)

Real Riche(リアルリッシュ)

e.a.p.(イーエーピー)

enracine(アンラシーネ)

we-nge

一部出資子会社によるブランド

FRフランス中間持株会社

プリンセスタム・タム(プティ・ヴィクル社) - ヨーロッパのランジェリーブランド、95.0%出資(連結子会社

コントワー・デ・コトニエ(ネルソン・フィナンス社) - フランス発のファッションブランド

コントワー・デ・コトニエ ジャパン株式会社(日本法人

かつて存在した傘下ブランド

ナショナルスタンダード(株式会社ナショナルスタンダード) - 84.6%出資子会社、2006年6月精算

アスペジ(アスペジ・ジャパン株式会社) - イタリアのシャツブランド、60%出資、旧シールド社。2008年7月に保有全株式をアルベルト・アスペジ(アスペジのイタリア本部)に売却

沿革 [編集]

1949年3月 - 柳井等が宇部市に個人営業として、メンズショップ小郡商事を創業。

1963年5月 - 法人化し、小郡商事株式会社を設立

1972年8月 - 柳井正が入社。

1984

6月2日 - 広島市中区に「ユニーククロージングウエアハウス」(略称・ユニクロ)1号店(袋町店)を開店。

9月 - 柳井正代表取締役社長に就任。

1985年6月 - 下関市に郊外型1号店(山の田店)を開店。

1986年10月 - 山口市フランチャイズ型1号店(山口店)を開店。

1989年2月 - 自社企画商品の開発体制の充実を目的として、吹田市に大阪事務所を開設。

1991年9月 - 株式会社ファーストリテイリング社名変更。

1994年

3月 - 分散していた本部機能の効率化のため、宇部市に本社新社屋を建設し移転

7月 - 広島証券取引所上場。

1996年11月 - 自社企画商品の開発体制の充実を目的として、渋谷区に東京事務所を開設。

1997年

4月 - 東京証券取引所二部上場。

10月 - スポーツカジュアル店「スポクロ」、ファミリーカジュアル店「ファミクロ」の新業態店舗を出店。

1998年
2月 - 事業拡大に対応する本部機能充実のため、山口市に本社新社屋を建設し移転。大阪事務所と東京事務所を統合し、新たに渋谷区に東京事務所を開設。

11月 - 首都圏初となる都心型店舗(原宿店)を開店。

1999年2月 - 柳井等が逝去。

2000年4月 - マーチャンダイジング及びマーケティング機能の強化を図るため東京事務所を閉鎖し、山口にあるその機能と統合し渋谷区に東京本部を開設。

2001年9月 - ユニクロ海外進出(イギリスロンドンに4店舗)。

2002年

2月 - 東京証券取引所第一部指定。

9月 - 子会社株式会社エフアール・フーズ(青果通信販売SKIP設立

11月 - 玉塚元一代表取締役社長に、柳井正代表取締役会長に就任。

2003年6月 - 東京本部を大田区に移転。

2004年

1月 - 株式会社リンクホールディングス(現・株式会社リンク・セオリー・ホールディングス)に資本参加

2月 - 株式会社ナショナルスタンダードを子会社化。

3月 - 子会社・株式会社エフアール・フーズ(青果通信販売SKIP)解散。

2005年

3月 - 会社再建中だった、株式会社ワンゾーン(旧株式会社靴のマルトミ)を100%子会社化。

9月

玉塚元一社長が退任、柳井正会長が社長兼任。

シールド社(現・アスペジ・ジャパン株式会社)を子会社化。

10月 - ミーナ天神オープン、商業施設開発・運営事業に進出。

11月 - 会社分割により持株会社化。

2006年

3月 - 東京本部を千代田区に移転。株式会社ナショナルスタンダードを解散。

4月 - 株式会社キャビンの株式25.7%を取得して、業務提携。

8月24日 - 株式公開買い付けにより株式会社キャビンを連結子会社化(51.66%)。

10月13日 - ユニクロよりも低価格志向の新ブランドジーユー」1号店を、ダイエー南行徳店内に開店。

10月25日 - 株式会社ビューカンパニー(婦人靴業者)と資本業務提携。2006年11月13日に33.4%の株式を取得。

2007年

7〜8月 - Jones Apparel Group, Inc.が売却予定であったBarneys New York, Inc.(バーニーズ・ニューヨーク社)の全株式の買収に名乗りを上げる(競合相手が買収価格を引き上げたため、断念)。

11月9日 - ミーナ津田沼オープン。

7月23日 - 株式会社キャビンの完全子会社化を目指し、同社に2度目の株式公開買い付けを実施、8月21日成立(96.94%)。

12月29日 - 株式会社キャビンの残る少数株式をすべて取得して、完全子会社化。

2008年

2月28日 - 株式公開買い付けにより株式会社ビューカンパニーを連結子会社化(98.96%)。同年7月には残る少数株式もすべて取得して、完全子会社化。

4月25日 - ミーナ京都オープン。

5月23日 - ミーナ町田オープン

7月8日 - アスペジ・ジャパン株式会社の全保有株式をAlberto Aspesi & C S.p.A.(アルベルト・アスペジ本部)に売却、同社は子会社から離脱。

9月1日 - 株式会社ワンゾーンを株式会社GOVリテイリング社名変更。株式会社ジーユーと株式会社ビューカンパニーの事業をGOVリテイリングに統合。

2009年1月29日 - 株式会社リンク・セオリー・ホールディングスの完全子会社化を目指して、同社に株式公開買い付けを実施。3月13日成立(74.58%)。

多角化経営

多角化による経営の安定化を狙い、事業展開を模索している。



青果事業

2002年9月に子会社エフアール・フーズを設立、「SKIP」のブランド名永田農法による農作物、健康食品など非衣料品分野の販売に進出した。しかし高めの価格設定が消費者から受け入れられず黒字化の目処が立たなくなり事業の継続を断念、2004年6月に同社を解散した。社内では3年で黒字を目処に決めており、3年で約28億円の赤字が出たとされる。多角経営の一テストとみられ、今後の他産業進出への参考と位置づけられている。



衣料

1997年から1998年にかけてスポーツカジュアル衣料品店の「スポクロスポーツクロージングウエアハウス)」、ファミリーカジュアル衣料品店の「ファミクロファミリー・クロージング・ウエアハウス)」を展開していた。ユニクロ事業の拡張の一環として位置づけられていたが専門店としては業績が思わしくなく、衣料ブランドをユニクロに一本化するために撤退している。



一方で、2006年10月より新衣料ブランドとして「g.u.(ジーユー)」ブランドを立ち上げている。ユニクロに比べて品質よりも価格を重視したブランドと位置づけられており首都圏・近畿圏からスタートし、徐々に全国展開を行っているものの店舗展開ペースはユニクロのそれよりもかなり緩やかである。



商業施設「ミーナ」開発・運営事業

従来は商業施設内にユニクロなどのグループ企業のブランドを出店する事業のみであったが、2005年からは商業施設自体の開発・運営に乗り出している。建物全体を一括して借り上げテナントを誘致して、「ミーナ」という名称で商号施設を運営している。現在4案件が運営中である。