細野豪志幹事長代理が極秘で?29日北京入り、日中関係修復の糸口を探る狙い菅直人首相は「まったく承知していない」

民主党細野豪志幹事長代理が29日、北京入りした。夕方に釣魚台迎賓館に入り、中国の外交を統括する戴秉国タイ・ピンクオ)・国務委員副首相級)と会談したとみられる。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐり、日中関係修復の糸口を探る狙いが双方にある。

 日中関係筋によると、細野氏は仙谷由人官房長官の意向を受けて訪中した。衝突事件後、中国側は丹羽宇一郎・駐中国大使に相次いで抗議したが、戴氏は楊潔チー(ヤン・チエチー、チーは竹かんむりに褫のつくり)外相に続く5人目として大使と面会した。胡錦濤(フー・チンタオ国家主席信頼が厚い戴氏が細野氏と会談したならば、中国共産党指導部・政府が対日関係の改善に意欲を見せたといえる。

 細野氏は同日夜、釣魚台から中国外務省当局者に付き添われて北京市内のホテルに戻った。記者団に「一切、答えられない」などと語った。

 細野氏の訪中について、菅直人首相は「まったく承知していない」と述べた。前原誠司外相も「政府とはまったく関係ない」と語った。


 民主党細野豪志前幹事長代理は29日、北京入りした。



 中国政府関係者と会談し、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で悪化した日中関係の改善を探る目的とみられている。

 菅首相は29日、細野氏の中国訪問について、首相官邸で記者団に「全く承知していない」と述べた。

 一方、前原外相は首相官邸で記者団に「政府の判断ではない」としながらも、「数日前に、『行く』というのは聞いていた」と語り、政府が今回の訪中計画を知っていたことを認めた。

 細野氏は、昨年12月の小沢一郎元代表ら同党議員約140人による訪中団の事務総長として中国側との折衝に当たった。

 政府・民主党は様々なルートで事態打開を探っていて、細野氏の動きもその一環と受け止められている。細野氏の会談相手は不明だが、30日に帰国する予定だ。

菅直人首相は29日、民主党細野豪志前幹事長代理を首相特使として中国・北京に派遣した。沖縄県尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突した事件で悪化した日中関係の改善を図るため、細野氏に首相のメッセージを託したとみられる。細野氏は中国側の要人と会談し、30日に帰国する予定。


 細野氏は29日夜、北京のホテルで記者団に「私自身の人間関係の中で来た。それ以外は申し上げられない」と説明を避けた。菅首相は記者団の質問に「全く承知していない」、前原誠司外相も「政府と全く関係ない。(親書を託したということは)100%ない」と政府の関与否定したが、民主党関係者は「首相から依頼された。首相の親書を持っていく密使の位置づけだ」と明言。細野氏を乗せたとみられる車列が釣魚台迎賓館に入るところが目撃されており、中国側は賓客として迎えた模様だ。

 首相はアジア欧州会議(ASEM)首脳会議出席のため10月3日から5日までベルギーブリュッセルを訪問する予定。同会議に出席する中国の温家宝首相との日中首脳会談を働きかける狙いもありそうだ。