裁判員制度あす見切り発車!東北1万484人が候補者「企業対応に苦慮」

裁判員制度:大企業「社員にケア」 中小は「仕事回らぬ」


 国民が刑事裁判に参加する裁判員制度が21日、スタートする。会社員が選ばれれば数日間休んで審理に加わることになる。体制整備が進む大企業が心のケアにまで乗り出す一方で、少ない従業員で奮闘する中小企業からは「1人欠けただけでも支障がある」との声も漏れてくる。

 ◇カウンセリングも
 ソニー(東京都港区)には、直接雇用の契約社員を含め従業員約1万8000人が勤める。

 従業員が裁判員に選ばれた場合、有給の出勤扱いにする。

 検察庁の職員による説明会や社内報、イントラネット(インターネット利用の社内情報通信網)で、制度の情報共有を図っている。「社員がその責務を果たせるよう、可能な限り支援していく」(同社広報センター)と話している。

 損害保険大手の損保ジャパン(新宿区)は、産業カウンセラーらが所属するグループ会社と連携。裁判員に選ばれた社員の不安やストレスを和らげるため、カウンセリングにも応じるという。

 日本経団連の昨夏の調査では、従業員が裁判員に選ばれた場合には、会員企業93社のうち80社が、有給扱いとする方針を決めている。

 その後も、同様の支援策を導入する企業が増えているという。

 ◇「一筆書いて」
 中小企業からは不安の声が漏れる。

 大田区の精密部品製造会社は従業員が9人。裁判員に選ばれた時の対応は特に考えていないという。社長(52)は制度の趣旨に理解を示しながらも、「それぞれ専門性があり、1人いなくなると仕事全体が回らなくなる」と懸念する。「もし辞退できないのであれば裁判所が『納期が遅れます』と一筆書いてほしいぐらい」と話す。

 東京商工会議所が中小企業を対象に昨年度実施したアンケートでは、制度への対応について「特に何もしていない」と回答した企業は約6割に上る。

 ◇経営再建中でも
 人材派遣大手で約4万人の登録スタッフが働くパソナ中央区)は4月に就業規則を改正し、選ばれた際は最大5日間の有給休暇を認める。心のケアについても「既存の無料相談センターがあり、活用してもらいたい」(同社広報部)という。

 大手のラディアホールディングス(港区、旧グッドウィル・グループ)も、主力の技術系派遣を含む社員約2万2000人について、裁判員になった場合は有給特別休暇にすると決めた。景気悪化の影響を受けて製造業派遣から撤退、経営再建中だが、同社広報部は「安心して働いてもらえる環境を提供したい」と話している。毎日より



裁判員制度あすスタート 東北1万484人が候補者

裁判


 刑事裁判に一般の国民が参加し、裁判官とともに審理、判決する裁判員制度が21日にスタートする。裁判を身近に感じてもらうことで、刑事司法への理解と信頼を高めるのが狙い。刑事裁判への国民参加は、1943年に執行が停止された陪審制度以来となる。

 人を裁く責任の重さや法律の基礎知識のなさ、報復への不安などから、参加を望まない国民は依然多い。制度自体もさまざまな問題点が指摘されており、課題を残した中での船出となる。

 東北で裁判員裁判を実施するのは青森、盛岡、仙台、秋田、山形、福島の各地裁本庁と福島地裁郡山支部の計7裁判所。河北新報社が独自に試算した2009年の裁判員裁判対象事件の見込み数と、候補者が裁判員・補充裁判員に選ばれる確率は表の通り。

 東北では昨年暮れ、6県で計1万4620人に候補者名簿への登載通知が送付された。警察官や自衛官など裁判員になれない人や70歳以上で辞退を望む人、あて先不明など不選任が確実な人が計4136人に上り、これを除いた1万484人が実質的な候補者となる。

 候補者に参加困難な月を挙げてもらった調査の結果、田植えや収穫などの農繁期に当たる5月や10月を挙げた回答の割合が全国平均より目立って高く、第一次産業の従事者が多い東北ならではの事情もみられる。

 裁判員裁判の対象となるのは、21日以降に起訴される殺人、現住建造物等放火、危険運転致死、強盗傷害など法定刑の重い事件。最高裁によると、08年に全国の地裁が受理した刑事事件約9万4000件のうち、対象事件は2324件(約2.5%)だった。

 各地裁は選挙人名簿から無作為抽出された裁判員候補者名簿に基づき、事件ごとに50―100人の候補者を裁判所に呼び出して選任手続きを行う。くじで原則6人の裁判員を選び、3人の裁判官と計9人の合議体を構成し、公判に臨む。

 公判前に裁判所と検察側、弁護側が証拠や争点を整理する手続きで被告が起訴内容を認めた場合などは、裁判員4人と裁判官1人の構成も可能。必要に応じて裁判員と同数までの補充裁判員を選任する。

 裁判員裁判は地裁での一審のみで、上級審は対象外。東北での裁判員裁判控訴審は、秋田を除く5県の地裁・支部が一審の場合は仙台高裁本庁、秋田地裁の場合は高裁秋田支部で行われる。河北より

一言 いろんな論議を尽くした上での決定ではないのがよくない。見切り発車である。もっと国民にPRをし、納得した上でやってもらいたい。この制度には問題がありすぎる。予想できる問題を解決もしくは対策を打ってからでも遅くはない。予測不可能な問題が山と出てくるだろう。