NHK大河ドラマ「巧妙が辻」と我が家

織田信長(天才的瞬間湯沸かし器)、豊臣秀吉(テクニシャン猿)、徳川家康(忍耐強い狸)と全く異なった三代の主君に仕え出世していった男と妻の物語。こんなに極端に違う上司もしくは社長に仕えるのは大変な苦労があったに違いない。しかし目的は一つ「天下統一」であった。そういう意味では矛盾を感じなかった事だろう。決して器用ではないのだけれど堅実、実直に、下克上の時代を生き、立身出世していけるのは、一豊の意思決定の確かさもあろうが、やはり内助の功があってのことだと思います(わたしは、二人は現代に近いパートナーとしての関係であっただろうと思えるが)。妻の手のひらの中で亭主を遊ばせている(釈迦と孫悟空の話)というのではなく、又嬶天下で亭主の尻をたたいていくのではなく、あくまでも控えめに、亭主を立てて慎ましく、上品に励ましていく仲間由紀恵=千代(「まつ」との説あり)の演技は見ていて微笑ましく清々しい感じがします。九州の女性を連想させます。へそくりの持参金で名馬(鏡栗毛)を買い求め亭主の手柄にする話、貧しい中、自分の髪を売って部下に食事をさせる話。当時女性の髪は命の次に大事なもので、ショートカットなんて決してしない時代でした(史実かどうか疑問?)。偉いですね。次に「笠の緒の密書」も素晴らしい美談です。かみさんに言うと「大昔の話でしょう、今時そんな人いませんよ」と一蹴されてしまった。我が家ではかみさんに私のへそくりを取られてしまうし、私自身踏み台替わり、男女共同作業とやらで、使用人代わりにこき使われ、飼い犬以下の扱われ方です。九州男児は何処に行ったのやら。妻はショートカットで尚且つパンツルックです。一豊は千代に随分心癒されたのではなかろうか。上川隆也(一豊)が素直で嫌味のない感じを出し、千代役の仲間由紀恵の言葉遣いや、演技に優しさが感じられるのである。柄本明(秀吉)は赤ら顔、くしゃくしゃ顔の作り方から表情、演技ともイメージにぴったりです。欲を言えば名古屋弁(尾張弁)が不足です。舘ひろし(信長)は人柄の良さが出た感じで、瞬間湯沸し器の怒り狂う雰囲気が欲しいところです。それから信長と明智光秀との対立をもう少し鮮明に出したほうが本能寺へ向けて盛り上がります。又一豊の妻への愛情が表れていることのひとつは、側近からも進言があっただろうと容易に想像できるのだが、側室を生涯持たなかった事である。現代の価値判断と違って、お家大事で正室に子供がいてさえも公的に側室を持った、産めよ増やせよの時代にしては異例の事で、その事からも深い愛情がうかがえるのである。現代の男性だったら何人愛人を持った事やら。後日談であるが二人のお墓は京都の大通院に仲良く並んでいるとのことです。