1ヶ月ルールと特例会見問題

天皇陛下中国の習副主席と会見 副主席「心から感謝」



中国の習近平国家副主席(左)と握手する天皇陛下皇居宮殿「竹の間」で2009年12月15日午前11時00分、代表撮影



出迎えの肥塚式部副長(右)と握手する中国の習近平副主席=皇居で2009年12月15日午前10時36分、三浦博之撮影 天皇陛下は15日午前、来日中の中国の習近平国家副主席と皇居・宮殿「竹の間」で会見した。陛下と習副主席が会うのは初めて。天皇陛下が中国の政府要人と会うのは、昨年5月に国賓として来日した胡錦濤国家主席以来。陛下は、胡主席が副主席時代の98年に来日した際も皇居・宮殿で会見している。



 宮内庁によると、会見は午前11時から24分間行われた。冒頭、陛下は「今回の訪日によって、両国間の理解と友好関係が一層、増進されることを希望しております。胡錦濤国家主席お元気ですか」と尋ねた。習副主席は「元気です。現在は中央アジアを訪問しています」と返答。「今回このような形でご引見いただいたことを心から深く感謝いたします」などと礼を述べた。



 陛下は昨年5月の四川大地震に触れて復興状況を尋ね、習副主席は、地震の際の陛下、日本政府、国民からの見舞いや援助に対して感謝。さらに陛下の即位20年を祝った。



 習国家副主席は15日午前、天皇陛下との会見に先立ち、横路孝弘衆院議長江田五月参院議長と会談した。



 ◇批判ムードに首相が不快感

 鳩山由紀夫首相は15日午前、天皇陛下と中国の習近平国家副主席の特例的な会見を羽毛田信吾宮内庁長官が批判していることに対し、「(申請に)何日間か足りなかったからといって、お役所仕事のようにすぱっと切るようなことで外交的な話がいいのかどうか」と語り、疑念を示した。また首相は、政府が特例で実現させた点に批判が高まっていることについて「習氏が日本で活動している最中にこういう状況になったのは大変残念。国民の皆さんを挙げてもっと喜びの中でお迎えすべきではないかと思っている」と述べた


天皇陛下と中国の習近平シー・チンピン)国家副主席の会見について、岡田克也外相は15日の記者会見で、1カ月前までに日程を連絡するとの「1カ月ルール」が守られなかったことから「(実現は)難しい話と認識していた」と述べた。外務省は11月30日に中国側に会見できないと伝えている。



 外務省が14日の自民党外交部会で説明したところによると、中国側から訪日日程の正式な通告があったのは祝日の11月23日。外務省は翌24日に宮内庁に会見の検討を要請したが、26日に宮内庁からルール上、実現できないとの回答があった。外務省は首相官邸とも調整したうえで、中国側に見送りを伝えたという。



 ただ、岡田氏は会見で、その時点で鳩山由紀夫首相や平野博文官房長官が見送りを了承していたかどうかは明らかにしなかった。


1カ月ルールとは…95年文書で定められる記事を印刷する

. ◆1カ月ルール 外国要人が天皇陛下との会見を希望する場合に、1カ月前までの正式申請を求める日本政府の慣例。公務多忙な陛下の日程調整を円滑に行うのが目的で、1995年に文書で定められた。特に2004年以降は、前年に陛下が前立腺がんの摘出手術を受けられたこともあり、厳格に守るよう徹底してきたとされる。鳩山由紀夫首相は11日、ルールの厳格な適用に関し「1カ月を数日間切ればしゃくし定規で駄目だということが、果たして国際的な親善の意味で正しいことなのか」と疑問を呈した




宮内庁は11日、天皇陛下が中国の習近平(しゅうきんぺい)国家副主席(56)と15日、皇居・宮殿で会見されると発表した。習氏は14日に来日予定で、胡錦濤(こきんとう)国家主席(66)の有力後継候補とされる。中国政府の要求に基づくものだが、所定の手続きをとっておらず会見は特例的措置。中国側は会見を実現できなければ習氏の体面を傷つけ関係者の責任を問われかねないと判断、民主党小沢一郎幹事長(67)らを通じて鳩山由紀夫首相(62)に働き掛けるなど、攻勢を強めていた。しかし、「政治主導」という名のもとでの「天皇の政治利用」ともいえ、今後論議を呼びそうだ。