新型インフルエンザの初の国内感染者が確認されたのを受け、専門家に今後の対応を聞いた。

新型インフル:専門家に聞く 初の国内感染者


 新型インフルエンザの初の国内感染者が確認されたのを受け、専門家に今後の対応を聞いた。

 ◇感染拡大を前提に
 ▽押谷仁・東北大教授(ウイルス学)の話 メキシコや北米で大規模な感染拡大が起きていることを考えると、検疫強化だけで国内へ感染者が入ることを完全に防ぐことは非常に難しい。

 感染が広がってもほとんどの人は軽症で終わると考えられる。

 まず神戸市でどの程度感染が広がっているかを調べ、もし広がっている場合は今後も感染が拡大するとの前提で、患者が多発した場合の医療体制、重症者への対応をどうするのかを具体的に考える段階にきている。

 ◇差別生む過剰反応
 ▽岩崎恵美子・仙台市副市長(元仙台検疫所長)の話 感染者への差別的な言動が出るのを見るにつけ、まるで伝染病予防法の時代に戻ったかのような印象を受けてしまう。

 このような反応が出た理由の一つに、毒性の強い新型インフルエンザを想定した対策に引きずられ、過剰ともいえる対策を取っていることが挙げられる。防護服姿での検疫や長期間の隔離などを見ていれば、医者であっても怖くなってしまう。

 従来のインフルエンザと同様の対策で対処できる。

 ◇水際だけでは無理
 ▽鈴木宏・新潟大教授(国際感染症学)の話 5月の大型連休に大勢の人が感染国を訪れた。その中に感染した人がいてもおかしくない。その人は症状が軽く検疫で申告せずに入国し、他人にうつしたことが考えられる。

 世界保健機関は「水際対策だけでは食い止められない」と指摘したが、その通りだ。大都市で感染が広がっていても不思議ではない。

 高校生の間で流行しており、関西地方で開かれるクラブ活動の全国大会の自粛も考慮すべきではないか。Asahi.com



新型インフル:こうして防ごう Q&A


 渡航歴のない高校生が、新型インフルエンザに感染した。注意点をまとめた
 Q 新型の特徴は?

 A 季節性インフルエンザと同様、突然の熱やせき、鼻水、関節痛などの症状が出る。海外のデータでは症状が重くならないタイプとされる。熱がほとんどない患者もいる。早期発見し治療すれば、重症化は避けられる。

 Q 感染経路は?

 A 患者のせきやくしゃみによって出る飛沫(ひまつ)で感染する。飛沫は約2メートル飛ぶとされ、患者と向き合って長時間話をすると感染しやすい。ウイルスが付着した手で目や鼻、口を触ることでも感染する。同じ電車に乗り合わせただけでは感染しない。

 Q マスクはしたほうがいいの?

 A 完全な感染予防はできないが、人込みでは効果が期待できるとされる。感染が疑われる症状が出たら、マスクをする。飛沫を散らさず、感染を広げないですむ。予防効果が高いのは手洗いだ。帰宅後、せっけんで手全体をしっかりと洗う。接触感染を防ぐため、つり革やドアのノブなどに触った場合も手を洗う。

 Q 外出は大丈夫?

 A 政府の専門家諮問委員会は「一律に外出を控えなくてもよい」としている。患者発生地域への訪問も一律に避ける必要はない。患者と一定時間、接触しない限り感染しないからだ。ただ、糖尿病や妊娠中の人が感染すると重症化する可能性が高く、不要不急の場合は人込みを避けた方がよい。集会やイベントも一律自粛は不要という。

 Q 感染が疑われたら?

 A 厚生労働省都道府県の窓口に問い合わせる。どこの医療機関に行けばいいのか指示がある。その場合、感染拡大を防ぐため公共交通機関の利用を避ける。自家用車などの手段がない場合、指示を受ける。毎日JP