WBC:日本、再び世界一 松坂がMVP

WBC:日本、再び世界一 延長で韓国降す 松坂がMVP


◆WBC連覇を決め、胴上げされる原監督=米カリフォルニア州ロサンゼルスのドジャースタジアムで23日=ロイター 日本が再び野球世界一の座に−−野球の国・地域別対抗戦、第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は23日(日本時間24日)、当地のドジャースタジアムで決勝を行い、原辰徳監督率いる日本が韓国を延長十回、5−3で降し、2006年の第1回大会に続く2連覇を果たした。最優秀選手には今大会3勝の松坂大輔投手(レッドソックス)が選ばれた。

 日本と韓国は今大会5度目の対戦で、ここまでの戦績は2勝2敗の五分。この日の試合はWBC史上最多の5万4846人の観客を集め、1点を争う白熱した好ゲームとなった。


【韓国・日本】延長十回表日本2死二、三塁、イチローが勝ち越しの中前適時打を放つ=米カリフォルニア州ロサンゼルスのドジャースタジアムで2009年3月23日、木葉健二撮影 日本は1−1の同点で迎えた七回、中島裕之内野手(西武)の適時打で勝ち越し。八回には岩村明憲内野手(レイズ)の犠飛で得点を加えた。しかし韓国は八回に1点差に迫ると、九回2死から李机浩の適時打で同点とし、延長戦に突入。日本は延長十回、イチロー外野手(マリナーズ)の中前2点適時打で決勝点を挙げた。

 今大会には16カ国・地域が参加。日本はイチローや、第1回大会最優秀選手(MVP)の松坂大輔投手(レッドソックス)ら大リーガー5人を含む28選手が代表となり、1次ラウンド(東京)を2位、2次ラウンド(米サンディエゴ)を1位で突破し4強入り。22日(同23日)の準決勝で地元・米国を破り、決勝に駒を進めた。優勝賞金は270万ドル(約2億6000万円)。

 次回のWBCは13年に開催予定。

◇堂々と戦い価値ある勝利

 日本・原監督 すごい侍たちが、世界のつわもの相手に堂々と戦って勝利したことは、価値がある。(チーム結成から)1カ月以上経ったが、1日1日チームが団結して進化し、最後までいい戦い方できた。今日は重い試合だったが、(十回のイチローの)中前打は生涯忘れないでしょう。

◇神が降りてきました

 日本・イチロー 苦しさ、つらさ、心の痛みがありましたが、最終的にみんなで笑顔になれたこと、日本のファンの人たちに、笑顔が届けられたこと、最高です。(決勝打)僕は持ってますね、やっぱり(笑い)。神が降りてきましたね。(シャンパンファイトは)3年ぶり。思いっきり浴びてきます。

◇すごい経験

 日本・岩隈 みんながついていたので、堂々と投げることができた。同点になったときは「これが野球だ」と思ったけど、イチローさんのヒットで(勝利を)確信した。(決勝の先発)すごい緊張もしたし、すごい大役を任せてもらえたのは、自分自身もいい経験になった。これを自信にしてこれからの野球人生頑張りたい。

◇勇気とパワーをもらえた

 日本・松坂 連覇の道は難しいと思ったが、力を合わせて、たどり着けた。前回より日本(のファンの)盛り上がりがすごくて、プレッシャーがあったが、その分勇気とパワーをもらえた。現地ではなかなか盛り上がりを実感できなかったけれど、(連覇で)日本が元気になってくれたらいいなと思います。
毎日より



◆第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝(日本5−3韓国、23日=日本時間24日、米・ロサンゼルス、ドジャースタジアム)優勝は逃したものの、韓国の選手たちはすがすがしさを口にした。

 日本戦で2勝を挙げた先発の奉重根は、この日は完調ではなかったという。それでも五回途中まで1失点と好投。「人生最高の一戦だった。日韓が、世界でもベストの2チームだと思う」と互いの健闘をたたえた。

 九回に一度は同点とする適時打を放った李机浩も「世界最高、最強のチーム相手にベストを尽くした。もっといい選手になれるよう、これから4年準備したい」と日本をたたえ、次回大会での雪辱を誓った。(共同)
◆第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝(日本5−3韓国、23日=日本時間24日、米・ロサンゼルス、ドジャースタジアム)最も重要な場面での小さなミスが、韓国のWBC制覇を遠ざけた。3−3の十回二死二、三塁。ベンチの指示は「イチローとの勝負」ではなかった。

 試合後の会見で「われわれはベストを尽くした。勝てれば最高だったが不満は何もない」と話した金寅植監督が、唯一残した後悔。それが決勝点を与えた場面だった。

 指揮官の指示は「際どいコースのボールを投げて、うまくいかなければ歩かせる」。ベンチから捕手へ、捕手から投手へ、作戦はサインで伝達される。しかし、ベンチの意図は正確に伝わらなかった。

 サインを中継したのは、九回から守備に就いた23歳の控え捕手、姜ミン鎬。金寅植監督は「経験の少ない捕手で、作戦をきちんと理解できなかったのだろう。確かにベンチと捕手でサインの交換はしたのだが、混乱があった。はっきり敬遠を指示しなかったことが問題だった」と振り返ったが、そのツケは大きかった。

 マウンドの林昌勇はイチローとの勝負に向かい、中前に2点適時打を運ばれた。力の拮抗(きっこう)したチーム同士の対戦では、一つの過ちが致命傷になる。この日の韓国も、それは例外ではなかった。(共同)




 ◆シャンパンファイトを終えて記者会見場に姿を現した原監督はいくぶん、落ち着きを取り戻していた。

 −優勝した今の気持ちは。

 「とにかく1日1日、チームが進化していくんだ。今日よりも明日。明日よりもあさって。強くなっていこうという形でスタートして、今日を迎えることができた。前回の王監督が取った世界一に恥じないV2を取れた。安堵(あんど)の気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです」

 −決勝は韓国戦だった。

 「最後はイチローがタイムリーを打ってくれた。チームにとっても、わたしにとっても忘れられない映像になると思う。予想していたこととはいえ、雌雄を決する接戦だったと思う」

 −韓国と5度戦った。

 「3勝2敗とこの大会において勝ることができた。でも野球の勝負は紙一重だと思う。アジアの2チームが決勝で戦えて、良いライバル関係として今後の野球を引っ張っていきたい」(共同)



岩隈が決勝戦で着用した帽子と、イチローが1次ラウンドで使ったバットがニューヨーク州クーパーズタウンにある米野球殿堂に寄贈されることになった。後日、ダルビッシュのスパイクも郵送されるという。同殿堂関係者が明らかにした。(共同)