トリノで荒川に金をもたらした「勝山スケーティングクラブ」4月閉鎖

 ★トリノオリンピックでの荒川静香優勝

仙台市青葉区の「勝山スケーティングクラブ」を経営する勝山企業(仙台市)は16日までに、リンクの営業を今年4月末で終了することを決めた。老朽化が理由で、市民に30年間、親しまれたスケート場は年内に解体される。跡地の利用法は未定。

 リンクは1978年にオープンした。縦56メートル、横26メートルのメーンリンクに、300人収容の観客席を併設する。冷却装置など特殊な機材を使うスケート場の寿命は30年前後とされ、ここ数年は施設や機械の傷みが著しかった。

 開業当初は手軽に楽しめるウインタースポーツとして人気を集めた。しかしレジャーの多様化などから90年代半ば以降、客足が減少。一時は年間10万人を超えた利用者も、最近は半分にまで落ち込んでいたという。

 リンクの閉鎖について伊沢泰平社長は「経営的に厳しかったが、社会貢献の一環として維持してきた。施設の老朽化が激しい一方、経済環境や少子高齢化なども考えると改築は難しいと判断した」と説明している。

 リンクは一般利用のほか、フィギュアスケート、アイスホッケーのクラブや部活動の練習拠点としても使われた。このリンクからは94年のリレハンメル五輪フィギュアスケート代表の及川史弘さん(東北学院高―早大出)、北米アイスホッケーリーグNHL公式戦に日本人初出場の福藤豊さん(東北高出)らが巣立った。
 同社は13日、閉鎖の意向をリンクの会員や競技団体に伝えた。

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◎関係者ら惜しむ声

 勝山スケーティングクラブの閉鎖が明らかになり、県内のスケート関係者からは惜しむ声が上がった。

 フィギュアスケートでは、2006年トリノ五輪金メダルの荒川静香さん(東北高―早大出)、98年長野五輪代表の荒井万里絵さん(東北高―東北福祉大出)も幼いころ勝山で競技を始めた。

 07年に復活したアイスリンク仙台(泉区)とともに貴重な通年リンクだった。同リンクでインストラクターを務める荒井さんは「両リンクで頑張ろうという矢先に残念。勝山の選手はつらいだろうが、競技を続けられるよう手伝いたい」と話す。

 仙台圏では、ウェルサンピアみやぎ泉(大和町)にもスケート場(冬季営業)があるが、10年9月までに売却される見込みで、存続は不透明だ。

 勝山に小学生を通わせる仙台市内の男性は「仙台圏のスケート場がアイスリンク仙台だけでは足りない。何とか残してほしい」と訴える。県スケート連盟の五十嵐一弥会長は「公営スケート場の設置を県や仙台市に求めたい」と話した。 河北より

2004世界選手権荒川静香優勝