人気女優のチェ・ジンシル(Choi Jin-Sil)さんの自殺と其の波紋


人気女優のチェ・ジンシル(Choi Jin-Sil)さんが10月2日午前、ソウル瑞草区(ソチョク)蚕院洞(チャムウォンドン)の自宅で、死亡していたところを発見された。死因は自殺であるとの最終判断が下され、人々の間には大きな衝撃が広がっている。



 同日午後1時、正式な記者会見を行ったソウル瑞草(ソチョ)警察署によれば、チェさんは死亡直前、母親のチョンさん(60)に、最近亡くなった俳優のアン・ジェファン(Ahn Jae-Hwan)さんの借金問題に関連するうわさについて、泣きながらその苦しい胸のうちを明かしていたという。

 同日午前6時15分ごろ、チェさんが浴室にて圧迫包帯で首を絞めた状態で亡くなっているところを母親が発見し、警察に通報した。遺書は発見されていなかった。

 会見を行った瑞草警察署のヤン・ジェホ刑事課長は、「他殺の疑いはなく、自殺が明白であると判断した」とし、「死亡推定時刻は、2日午前0時30分から同午前6時の間と考えられる」と発表した。

 警察によると、チェさんは1日夕方、近所の食堂でマネジャーのパクさんと共に焼酎を3本飲んだあと、酔った状態で帰宅した。このとき母親に、自身を消費者金融だとするうわさに対して、「世の中の人々が恐ろしい。金貸しとはまったく関係のないわたしを、どうしてこのようにして苦しめるのか理解できない」と涙ながらに訴えていたという。その後、浴室に入って、自殺を図ったものと思われる。

 チョンさんは、警察に対して「彼女は5年前に元夫のチョ・ソンミン(Cho Sung-Min)と離婚したあとから、うつ病のような兆しが見えた」とし、「ときどき『つらい、苦しい』などと繰り返していて、精神安定剤を飲んでいた」と陳述した。併せて、最近では親しい友人でタレントのチョン・ソニ(Jung Sun-Hee)の夫であるアン・ジェファンさんに、多額の金を貸していたなどのうわさが広がっており、安定剤の服用量が増えていたと話している。

 チェさんの友人は、「離婚後は、子どもの養育問題で多大なストレスを感じていて、芸能界での地位を心配しつつも、普段から『死んでしまいたい』とよく話していた」と語る。

 チェさんは、死亡する前の午前0時42分ごろ、親しいメークアップアーティストに、「わたしにもしものことがあったら、2人の子どもをよろしく…」「ごめんね」という携帯メッセージを相次いで送っていたことが明らかになっている。

 警察は、「チェさんの遺書は発見されていないが、アン・ジェファンさんの死後、非常につらいと書いた内容のメモが一部発見されている」と説明した。

 チェ・ジンシルさん(40)は、1968年生まれ。1988年にMBCの特別採用タレントで芸能界にデビュー後、各新人賞を受賞し、明るく活発なイメージでCMクイーンとして人気を博していた。ドラマ『嫉妬(しっと)』『星に願いを』などのトレンディードラマに出演して「チェ・ジンシル・シンドローム」を巻き起こし、「万人の恋人」と親しまれながら、トップ女優としてドラマや映画などで幅広く活躍してきた。

 2000年、年下の野球選手であるチョ・ソンミンと結婚して話題をさらい、日本で新婚生活を送ったこともあるチェさんは、結婚2年で破局を迎え、結婚3年9か月目にあたる2004年9月に協議離婚したあとは、1男1女を女手1つで育ててきた。

 離婚後、復帰作『バラ色の人生』を通じて、これまでのイメージを打ち破り、リアルな30代のおばさん役を熱演して、女優「チェ・ジンシル」の名を再び世間にとどろかせた。今年初めには、『私の人生最後のスキャンダル』で再び好演を見せていたほか、ケーブルチャンネルOBSのトークショー『ジンシルとグラ』で司会も務めていた。

 一方、チェさんは最近、「アン・ジェファンさんの借金のうち、25億ウォン(約2億1600万円)は彼女が貸したもので、チェ・ジンシルは消費者金融業にも手を出している」などのうわさがインターネットを通じて広まり、心労を余儀なくされていた。このうわさを広めたとして、9月29日、ある証券会社の女性社員(25)が逮捕され、現在、立件調査の最中だった。AFPより


◆チェ・ジンシルさん自殺前2日の言動
国民的な人気を呼んだ女優チェ・ジンシルさん(40)の死を捜査中のソウル瑞草警察署は3日、「チェさんの日ごろの言動や、遺族・関係者らの話を総合すると、チェさんは衝動的に自ら命を絶ったものと思われる」と暫定的に結論を下したことを明らかにした。


 同署は記者会見で「国立科学捜査研究所司法解剖の結果、チェさんの遺体には他殺の痕跡がないと判断した。さらに、周囲の状況や、遺族らの話からも、チェさんは衝動的に自殺を図ったものと思われる。だが、チェさんが特定の薬物を服用したかどうかなど、詳細な解剖結果が出るにはさらに1週間かかる」と述べた。


 同署によると、チェさんのマネージャーのパクさん(27)は、チェさんが死亡する二日前の先月 30日、「チェ・ジンシル金貸し説」をインターネットのサイトに掲載した証券会社女性社員(25)=書類送検=と電話で話したことを認めたとのことだ。

 パクさんが電話をかけ善処するよう頼むと、チェさんは「今ごろ謝るなんて話にもならないわ!」と激怒したという。同署の話では、その夜はほとんど寝ずに泣き明かし、翌1日(自殺前日)午後2時30分ごろから行われたCM撮影でも尋常な様子ではなかったらしい。


 さらに、チェさんは同日午後5時から、慰めに来た所属事務所の代表とソウル市内の飲食店やカラオケ店で酒を飲んだ後、マネージャーと一緒に車に乗り、午後11時35分ごろソウル市瑞草区蚕院洞の自宅に戻った。


 車の中でチェさんは「開天節(10月3日の祝日)は上の子の運動会なのに、どうしよう」と言ったかと思うと、突然「子供たちをいつも見守ってやって。あなたがそばにいてやってね」と言い出した。チェさんは、普段からマネージャーに「わたしが死んだら(遺骨は)納骨堂じゃなくて山にまいてよ」と話すなど、死にたい気持ちがあることをよく話していたという。


 また、チェさんは帰宅した後の2日午前0時42分と45分、二度にわたりメークアップ担当者(36)に「子供たちをお願い」という内容の携帯メールを送っている。さらに2分後の午前0時47分には、とても仲がいい女性誌編集長(37)と7分34秒間、最後の電話で話していたことも確認された。

女性誌編集長は「チェ・ジンシルさんは3分間ほど悲しそうに泣いてから、“つらい。死ぬ”と言った。わたしが“何で死ななきゃならないの?”と声を掛けると、“あなたに最後に電話したの。うちの子供たちが成長するのを見守ってね”と話した」と署の事情聴取に答えた。


 電話を切った後、不審に思った女性誌編集長はチェさんの自宅に電話をかけ「チェ・ジンシルさんの様子をよく見て」と伝えた。これを聞いたチェさんの母親(61)と叔母は急いでチェさんの部屋に行ったが、チェさんは浴室に入りドアにかぎをかけ、「大丈夫」と答えたという。その後、チェさんは首をつり、午前6時15分ごろ、母親により発見された。


 同署は「チェさんは普段から“うつ”の症状を見せ、浴室に一人で入り、しばらく出て来ないことが数回あったため、家族も大きな問題だと思わなかったようだ。早朝チェさんが浴室にまだ入っているのに気づいてからも、すぐに救急通報せず、合い鍵屋を先に呼んだ」と話している。


 同署は、チェさんが貸金業者とつながりがあるという疑惑について、「関係があるという証拠は何も見つかっておらず、捜査の予定もない」としている。


 一方、3日午後2時から30分間、祭壇が設けられているサムスンソウル病院(ソウル市江南区逸院洞)には、遺族や弔問客がすすり泣く中、チェさんの納棺が行われた。チェさんの母親は車いすに乗り、白い布にくるまれた遺影を胸に「ジンシルや、母さんと呼んで。わたしのほうが先に逝かなければならないのに…」と言葉を詰まらせた。その後ろで車いすを押していたチェ・ジンシルさんの弟で歌手のチェ・ジニョンさん(37)さんも、母親の肩を抱き号泣した。


 納棺には遺族のほか、元夫でプロ野球選手として読売ジャイアンツでもプレーしたチョ・ソンミンやイ・ヨンジャ、チョン・ソニ、シネら芸能界仲間が参列した。


 また、この日もキム・ミファ、チェ・ジウ、タク・ジェフン、チェ・ブラム、カン・スジら芸能人約20人が弔問に訪れた。


 チェさんの出棺は4日午前8時30分に行われ、荼毘(だび)に付された後、京畿道楊平郡楊西面両水里にあるカプサン公園墓地に埋葬されることになっている。
朝鮮日報より

◆チェ・ジンシルが側近に送た文字メッセージが公開された。

2日午前に死亡したまま見つかったチェ・ジンシルが側近に送っていた文字メッセージが公開された。

チェ・ジンシルは2日0時42分、親しいメーキャップアーティストのイさんに「この世の中で最も愛している姉さん、何があってもファンヒとジュンヒのことをお願い…」という文字メッセージを送った。 その3分後の0時45分にまたイさんに「ごめん」という文字メッセージを送った。 これがチェ・ジンシルが最後に残したメッセージとなった。

家族は警察の調査で「深夜0時ごろ、母や叔母と一緒に居間で話をしていたが、少し泣くようにして浴室に入っていった。2日午前4時、母が起きてチェ・ジンシルを探したが、寝室にいなかった。 浴室のドアをノックしたが、鍵がかかっていて、朝6時ごろ人を呼んで鍵を開けてもらったところ、チェ・ジンシルが死亡していた」と話した。 中央日報より



◆<芸能人関連の悪質な書き込み>

03年7月、タレントのビョン・ジョンスさんがインターネット上で広まった「交通事故による死亡説」で警察に捜査を要請。19歳の女子大生が捕まったが、反省する姿勢を示したことで告訴を取り下げる。

06年6月、財閥2世との結婚説が広まった女優キム・テヒさんが警察に捜査を要請。11人を書類送検

07年1月、3枚目のアルバムでカムバックを控えていたが、整形手術疑惑をめぐる悪質な書き込みに苦しめられていた歌手ユニさんが首をつって自殺。

07年2月、整形手術疑惑関連の悪質な書き込みに悩まされていたタレントのチョン・ダビンさんが自殺。

07年5月、タレントのコ・ソヨンさんが財閥2世とのスキャンダルを広めたネットユーザー35人をソウル中央地検に告訴。

08年1月、歌手ナ・フナさんが女優キム・ヘスさんとのスキャンダルについて反論する記者会見。

08年10月、「25億ウォンのサラ金説」に苦しめられていた女優チェ・ジンシルさんが自殺。

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★チェ・ジンシル/崔真実
生年月日/1968年12月24日 ソウル生まれ
出身校/仙一女子高校
血液型/O
身長/163cm
体重/46kg
家族/1男1女の姉、2000年に野球選手の趙成除ナと結婚するものの離婚
デビュー/1988年 CMでデビュー
主な作品/映画「ミスター・マンマ」 など

年下の野球選手チョ・ソンミンと結婚、出産のため、しばらく芸能活動をお休みしていたチェ・ジンシルはその後、復帰第1作として、ドラマ「君に出会ってから」に出演する。結婚4年後にチョ・ソンミンと離婚。離婚は泥沼離婚としてマスコミなどに取り上げられ一事はゴシップが連発され、芸能界復帰が危ぶまれていた。2005年には1年2ヶ月ぶりの「バラ色人生」でドラマにカムバック。視聴率は40%を超えドラマは好評をえる。

チェ・ジンシルの代表作

【ドラマ】
『朝鮮王朝 500年』(88/MBC)、『嫉妬』(92/MBC)、『星に願いを』(97/MBC)、『君に出会ってから』(02/MBC)、『バラの戦争』(04/KBC)、『バラ色の人生』(05/KBS)

【映画】
『最後のソウル』(88)、『手紙』(97)、『ベビーセール』(97)、『マヨネーズ』(99)
チェ・ジンシルの略歴
韓国女優のチェ・ジンシルは、92年に放送されたドラマ『嫉妬』が大ヒットとなり“チェ・ジンシルシンドローム”を巻き起こした。97年にはドラマ『星に願いを』と『君と僕』での活躍が高く評価され、MBC大賞を受賞。私生活では、5歳年下の野球選手チョ・ソンミンと結婚し、出産のためにしばらく芸能界を離れていたが、復帰第1作としてドラマ『君に出会ってから』に出演する。

その後、結婚4年目にしてチョ・ソンミンと離婚。一時はマスコミによってゴシップが取り上げられ、芸能活動さえも危ぶまれた時期があった。しかし05年には1年2か月ぶりとなるドラマ『バラ色の人生』でカムバックを果たし、視聴率は40%を超え好評を博した。2008年10月2日他界。享年40歳。